学会長からのご挨拶
2009-2010会長 藤崎 憲治(ふじさき けんじ)
京都大学大学院農学研究科教授
【自己紹介】
専門は昆虫生態学です。昆虫の集合性、交尾戦略、分散多型性や休眠性などの生活史戦略、温暖化の昆虫に対するインパクトの解析など、多岐にわたるテーマについて研究してきました。趣味は、自然観察、里山散策、読書、およびテニスや卓球などのスポーツといったところですが、なかなかそれらに当てる時間が取れないのが悩みのたねです。
国見裕久会長の後を受けて、本年から2年間、会長の職を務めさせていただくことになりました。伝統ある日本応用動物昆虫学会の舵取りを任され、身の引き締まる思いです。
日本応用動物昆虫学会は、1957年に創立され、53年の長い歴史を持つ学会です。本学会は、時代に即した改革と民主的運営を柱に、これまで運営されてきました。私も、この良き伝統を守り、活動していきたいと考えています。
前期執行部は、会長の強いリーダーシップのもと、(1)学会改革の定着とさらなる発展、(2)財政の改善、(3)会員の意識向上、の3項目を中心課題として精力的に活動を行ってきました。
学会改革では、Applied Entomology and Zoology誌のさらなる充実と認知度アップが最重要の課題となります。メニューを豊かにし、会員が“楽しめる”ジャーナルにしていく必要があるでしょうし、Impact Factorも1を超える国際的レベルにしていく必要もあります。いかにしたら世界に向けてのより効率的な情報発信を行うことができるのか、完全電子ジャーナル化も視野に入れた抜本的な改革の是非について、検討を開始する必要があるものと思われます。一方、大会の持ち方も変える時代が来つつあるものと考えます。口頭による一般講演だけでなく、ポスターセッションも設け、空いた時間に学会主催や公募のシンポジウムをはめ込むなど、より魅力的な大会の持ち方を追求してみる必要もあるかと思います。これらの改革により、学会としての時代に即応したフォーカスをより鮮明にし、若い世代に対しても一層の求心力を持つ学会にしていくことが肝要でしょう。
財政の改善では、前期執行部は会員制度を変更するとともに会費の値上げに踏み切りました。本学会は、執行部と事務局の方々のたゆまぬ努力により、長らく会費の値上げをせずに運営されてきましたが、単年度ベースで赤字の状態が続くようになったことで、会費の値上げに踏み切らざるを得なかったわけです。また、諸般の事情で科学研究費の出版助成金の申請が困難な状況に陥ったことも、会費値上げの大きな要因でありました。出版助成金に頼らずにいかに安定的に学会誌を発行できるかは、既に述べた発行の形態とも密接に関連する、今後の大きな課題であると思われます。
会員の意識向上では、前々期執行部以来、学会ウェブサイトの改善、お知らせメールの発信等、電子広報委員会を中心に大変な努力をして頂きました。今期もこれらの流れの延長線上に、執行部と会員との一層の意思疎通を図っていきたいと考えております。
日本学術会議において、日本応用動物昆虫学会は一昨年から「生命科学部門」で活動することになりましたが、「生産農学委員会」の下に立ち上げられた「応用昆虫学分科会」において、わが国の応用昆虫学の今後のあり方について活発な議論が開始されました。私も連携会員として、その議論に加わってきました。その集大成として、2008年5月16日にシンポジウム「昆虫が拓く世界-研究者の再結集を目指して-」が開催され、昆虫学関連学協会の緩い連合組織である『日本昆虫学連合(仮称)』を形成していく方向で、同意がなされました。現在、連合準備委員会の設置が提案されており、連合体の形成と運用の具体化が近いうちに図られる運びとなっています。それは学術社会や一般社会における昆虫科学の認知度を高める上で重要な役割を果たすものと期待されます。日本応用動物昆虫学会は、他の関連学会と密に連携しながら、わが国の昆虫科学の発展と普及に貢献していくべきであると考えております。
右肩上がりの時代が終焉し、世界的に経済が破綻した困難な状況の中で、本学会も多くの重要課題を抱えております。これらの問題を解決していくためには、会員の皆様のご理解とご協力が不可欠であります。ご支援のほど、どうかよろしくお願い申し上げます。(2009年1月)
(2009年1月)
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