技術士とJABEE

技術士とJABEE(日本技術者教育認定機構)について

最近、「技術士」や「JABEE(日本技術者教育認定機構)」に対する学会の対応についての議論が各所で行なわれています。本学会執行部でも、これらになぜ学会が関わらなければならないのか、あるいは、技術士とJABEEの関連はどのようになっているか、など、これまで学会にはあまりなじみのなかった問題点を2003年から議論してきましたので、これらについて簡単にまとめて会員の皆さんにお知らせしたいと思います。

技術士・農業部門・植物保護

技術士制度は、所定の国家試験をパスした者に国家認定資格として「技術士」の称号を与えるものです。技術士国家試験の専門科目には21の技術部門があり、その中で本学会と関連があると思われる部門は農業、生物工学、環境などです。最も関連する農業部門においては、従来、第二次試験の選択科目の中で本学会に関連する科目は、「農業及び蚕糸」しかありませんでした。これに対し、2003年に、本学会を含む植物保護関連学会は文部科学大臣あてに、第二次試験選択科目に「植物保護」を追加してほしいとの要望書を提出したところ、文部科学省の省令第36号・告示第136号が改正され、2004年4月1日より技術士農業部門に「植物保護」が新設されました。このことは、植物保護分野における「技術士・農業部門・植物保護」が認定されたことを意味します。

JABEEとは?

JABEE は、技術士とは別の制度で、大学等の教育プログラムが国際的水準の技術者を育てるのに十分であるかどうかを評価・認定する機関で、米国のABET (Accreditation Board for Engineering and Technology)を手本として1999年に設立された民間機関です。国際化時代を迎えて、JABEE認定教育プログラム(学部、学科、コース、など)の修了者を諸外国においても国際的レベルの技術者として認めてもらおうというわけです。ただし、JABEEが認定した教育プログラムが正式に国際的な認知を受けるためには、JABEEが国際認定機関(Washington Accord; WA)に加盟している必要があり、JABEEは2005年のWA加盟を目指して準備を進めていましたが、努力が稔って2005年6月15日に認定されました。

なぜ学会がJABEEに関わるのか?

大学などの教育プログラムを評価・認定するのにどうして学会が関わらなければならないのか。これには疑問を抱く人が多いかもしれません。技術者教育のためのプログラムを評価・認定するには、当然、それぞれの技術分野に関する高度の専門的知識が必要です。既存の専門家集団としては大学がありますが、大学は評価・認定を受ける立場にあるために大学が評価機関を兼ねることは適当ではありません。そのため、特定分野における高度の専門知識をもつ研究者を擁し、かつ、中立的な立場にある学会が受け皿にならざるをえないことになります。このような状況で、農学分野では(財)農学会の下に「技術者教育推進委員会」が設立され、そこで農学分野におけるJABEEへの具体的取り組みについての検討を進めています。本学会も技術者教育推進委員会のメンバーに加わり、田付前会長が委員として参加しています。

技術士とJABEEの関連

技術士になるためには第一次試験をパスし、実務経験を経たうえで、第二次試験に合格しなければなりません。第一次試験は非常な難関で、その合格率は数10%しかないのが現状です。ところが昨年、技術士法が改正され、JABEE認定の技術者教育プログラムの修了者には技術士国家試験の第一次試験が免除されることとなりました。以上のような様々な状況の変化を受けて、本学会としても会員に「技術士・農業部門・植物保護」資格の取得を勧めると同時に、植物保護分野の学会が中心となって設立した「技術士に関する委員会」に委員を送り、「技術士・農業部門・植物保護」資格の有効活用法や大学における植物保護分野のJABEE認定に向けての対応について積極的に検討していくことにしました。本会からは、国見会長、戒能評議員、後藤評議員が委員会のメンバーとして参加しています。

(謝辞)本稿を草するにあたり、2003年度3学会長懇談会のために日本植物病理学会の寺岡徹博士(東京農工大学教授)が準備された文書を参考にさせていただきました。記して厚くお礼申しあげます。なお、技術士とJABEEに関する詳細はつぎのサイトを参照してください。

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