応動昆、持続可能な社会を目指して: 一般社団法人 日本応用動物昆虫学会

新刊紹介(生態進化発生学 エコ・エボ・デボの夜明け)

(2012年3月 6日公開)

【書名】生態進化発生学 エコ・エボ・デボの夜明け(オールカラー)
スコット・ギルバートとデイビッド・イーペル著
 (正木・竹田・田中 訳)

本書は生物学、特に進化と発生学分野におけるエポックメイキングな名著です。2009年の雑誌Natureにエール大学のS.C. Stearns教授がよせた書評では、「もっとも美しくもっともすばらしい永遠のしらべ」と賞賛され、世界的に話題となりました。この本は、環境が生物の発生と進化に及ぼす過程をテーマにしたもので、分子生物学、エピジェネティックス学、発生学、環境保全、進化生態学そして医学の分野を統合し、新たな生物学の流れを示そうとした野心作とも言えます。さまざまなゲノムプロジェクトがすでに終わり、「ゲノムが生命の本」でもなく、「個体が単にゲノムを運ぶ乗り物だ」という比喩も誤りだったことに、たいがいの科学者は気づきました。そして世界では過去十年、エピジェネティックス研究が盛んになりました。最近の分子生物学の発展は、生物学に革命をもたらしました。しかし一方では、哲学の欠如、技術革新に乗じて安易に作られた医薬品や食品添加物の蔓延、進化生態学を軽視した環境保全が、今やこの地球と人類の将来をも脅かしている、と著者らはうったえています。
さまざまな分野の方々に、是非一読していただきたいと願い、日本語の翻訳版を早急に出版することにいたしました。ゼミなどでも使っていただき、ポスドクの方々にも勧めていただければ幸いです。教科書または専門書というより読み物として、生物学の一般的知識があれば十分理解できるよう、工夫されています。
出版を記念して、今なら訳者割引(2割引)で原本とほぼ同じ価格で購入が可能です(大判B5のオールカラー)。2冊まとめると、送料も無料になります。詳しくは、以下をご覧下さい。
 

【原著】Ecological Developmental Biology;
Integrating Epigenetics, Medicine, and Evolution
【著者】Scott F. Gilbert and David Epel
【訳者】正木進三・竹田真木生・田中誠二
【体裁】B5判 450頁 上製 印刷カバー
【定価】6090円(税込)
【割引価格】4872円(税込)+ 送料400円(2冊以上ご注文の場合は、送料サービスします)
【発行】東海大学出版会 http://www.press.tokai.ac.jp
【発売日】2012年2月20日(2月10日より発送開始)
【ISBN】978-4-486-01859-9 
お支払方法 振込、MASTER・VISA CARD
但しカードの場合は、カード名義、カード番号、有効期限
をご連絡ください。 ご購入の場合は、メールにて稲 英史 (inaair@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp)までご連絡ください。

【内容】
・エコ-エボ-デボの生物学
目次
第1部 環境要因と正常な発生
第1章 環境要因と正常な表現型
第2章 発生過程における分子的な変化:環境要因の影響
第3章 発生と共生:生存戦略としての共発生
第4章 胚の防御機構:きびしい世界での生存
第2部 生態発生学と病気の現状
第5章 奇形の形成:環境による発生への衝撃
第6章 内分泌撹乱要因
第7章 成人病のエピジェネティックな成因
第3部 発生と進化の総合をめざして
第8章 現代の総合説:対立遺伝子にかかる自然選択
第9章 発生調節遺伝子を通しての進化
第10章 環境,発生そして進化:新たな総合をめざして
終 章 エコ-デボ生物学が提起する哲学上の問題
補遺A ルイセンコ,カンマラー,そして生態発生学の伝統の断絶
補遺B エピジェネティックな変化の分子的機構
補遺C 発生を現代の総合説から書き起こす
補遺D エピジェネティックな遺伝のシステム:
     環境に誘導される形質の遺伝

(農業生物資源研究所 田中誠二)