応動昆、持続可能な社会を目指して: 一般社団法人 日本応用動物昆虫学会

むしむしコラム・おーどーこん 「コラム」更新

(2012年11月12日公開)

2012年07月09日掲載【オオバギをめぐる生物群集の形成過程を探る】
上田昇平 (信州大学・山岳科学総合研究所)・小松 貴 (信州大学・理学部)

生物群集の形成過程を明らかにすることはこれまで難しいとされてきた。
しかし、近年めざましい発展を遂げたDNA解析技術により、群集メンバーの起源年代を推定することが可能になってきた。我々はアリ植物オオバギ属をめぐる生物群集を材料として、群集の形成過程の一部を明らかにすることに成功したのでここに報告します。
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2012年07月04日掲載【虫の模様の意味】
鶴井香織 (弘前大学 男女共同参画推進室)

生物の模様にはどのような意味があるのでしょうか? 人間は、古くから
生物の模様に隠蔽(いんぺい、カモフラージュ方法の1つ)効果があることを
経験的に知っていました。軍服や戦車には迷彩パターンが施されていますが、
これは生物の模様が持つ隠蔽効果を応用したものです。このように隠蔽効果
を持つ生物の体の色や模様を、隠蔽色(保護色)と呼びます。このコラムは、
隠蔽色の一つである「分断色」についての話です。
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2012年06月26日掲載【研究室紹介: 東京大学大学院農学生命科学研究科・
昆虫遺伝研究室】
國生龍平 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)
URL : http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/igb/>http://www.ab.a.u-tokyo.ac.jp/igb/
はじめまして、東京大学大学院農学生命科学研究科・昆虫遺伝研究室です。
「むしコラ」研究室紹介の栄えある第一号を担当させていただくことになり
ました。本日は、私たちの研究室で行われている様々な研究内容について、
ご紹介します。

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・むしむしコラム・おーどーこん 「最新のトピック」更新

2012年10月16日掲載【カイコの変異体から分かったショウジョウバエの眼が
黒くない理由】
二橋美瑞子 (農業生物資源研究所)

昆虫の中でも、チョウやトンボなど、カラフルな種は一般の人にも人気が
ありますが、昆虫に色がつく仕組みについてはまだまだ不明な点が多く残さ
れています。幅広い昆虫に存在する主要な色素の1つとして、アカトンボや
ドクチョウなどの赤い色で有名なオモクローム系色素が挙げられます。
オモクローム系色素は、ショウジョウバエの赤い複眼など、ほとんどの
昆虫の眼の色としても使われてます。オモクローム系色素の合成経路は、
ショウジョウバエの眼の色の変異体の研究から前半の部分についてのみ解明
されていました。今回、筆者らは、カイコの眼と卵の色の変異体「赤卵」の
原因遺伝子を探索し、その正体が、オモクローム系色素の合成の後半に働く
新規なトランスポーター遺伝子であることを明らかにした。

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2012年10月09日掲載【「赤とんぼ」が赤くなる仕組み】
二橋 亮 (産業技術総合研究所)

童謡「赤とんぼ」は、日本人なら誰でも口ずさめる歌の一つでしょう。
空を群れ飛ぶ「赤とんぼ」は、秋の訪れをつげる風物詩としても日本人に
親しまれてきました。「赤とんぼ」というと、一般的には秋によく見られる
アキアカネなど、アカネ属に含まれるトンボを指すことが多いですが、夏に
よく見られる「ショウジョウトンボ」など赤いトンボ全般を含む場合もあり
ます。赤くなるトンボの共通点としては、成虫が成熟するに伴って体色が
黄色から赤色へと変化することが挙げられます(図1, 尾園・川島・二橋,
2012)。このような劇的な色の変化は、通常はオスにだけ見られ、メスは
生涯黄色っぽい色をしていることが多いです。オスとメスの色の違いは、
繁殖行動や縄張り活動の際に重要であると考えられています(二橋, 2010)。

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2012年10月07日掲載【たった1つの酵素のわずかな違いが、ショウジョウバエ
の生活史を変化させた】
丹羽隆介 (筑波大学 生命環境系/JSTさきがけ研究者)

地球上の生物の中には、特殊な環境に適応して独特の進化を遂げたものが
多数存在します。しかし、それぞれの生物がこうした特殊な環境に適応する
にあたってどのような遺伝子レベルの変化が必要であったのか、不明な点が
多く残されています。本コラムでは、最近筆者たちが明らかにした、
ショウジョウバエの食性の進化に関わる遺伝子の変化について紹介します。

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2012年08月09日掲載【森と川をつなぐ細い糸】
佐藤拓哉 (京都大学白眉センター)

森が育む陸生昆虫類は、渓流に棲むサケ科魚類の重要な餌資源となり、
ひいては河川生態系全体に大き*影響を及ぼします。これまで、多くの研究が
陸生昆虫類は川に「落下する」という暗黙の仮定をしてきました。様々な
形態や行動様式をもつ陸生昆虫類は本当に、単純に川に落下しているので
しょうか? 私たちの研究から、寄生虫による宿主の行動操作が、森と川の
生態系をつなぐ重要な役割を果たしていることが明らかになってきました。

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2012年06月27日掲載【腸内細菌で殺虫剤に強くなる!?】
菊池義智 (産総研北海道センター)

これまでに500種類以上の害虫において殺虫剤抵抗性が報告されており、
世界的にも大きな問題となっています。このような殺虫剤抵抗性は、従来
「昆虫自身の遺伝子によって決まるもの」と当たり前のように考えられて
きました。しかし、どうやらそうとも限らないようです。筆者らの最近の
研究から、昆虫の体の中に棲む腸内共生細菌が殺虫剤抵抗性に大きく関わる
ことが明らかになってきました。

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2012年06月26日掲載【昆虫の行動をあやつるウイルス: バキュロウイルスは
宿主から獲得した遺伝子を改変して行動操作に利用していた!】
國生龍平・勝間 進 (東京大学・大学院農学生命科学研究科)

昆虫病理学の分野で有名な病原体の一つに、バキュロウイルスというウイルス
がいます(図1)。このウイルスは、感染後に宿主幼虫の行動をあやつって高い
場所へと移動させて殺し、死体をドロドロに溶かすという SFさながらの
恐ろしいウイルスなのです。最近の研究により、バキュロウイルスが宿主の
行動を操作するメカニズムについて、非常に興味深い事実が明らかになって
きましたのでご紹介します。

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