応動昆、持続可能な社会を目指して: 一般社団法人 日本応用動物昆虫学会

日本応用動物昆虫学会の法人化に向けて

(2014年9月 1日公開)

公益法人制度改革は,2001年以降に政府の行政改革の一環として取り組みが始まりましたが,従来の制度では学会が公益法人格を得ることに多くのハードルがありました.2008年12月に「一般社団法人および一般財団法人に関する法律」が施行されてから,一般社団法人となることが比較的容易になりました.このため,多くの学会において法人化が検討され,既に一般社団法人,さらには公益社団法人となっている学会も見られます.
日本応用動物昆虫学会(以下当学会)では,6年以上前から常任評議委員会で法人化に関する論議をすすめてきたものの,これまで他学会の動向を見つつ将来的な検討課題としてきました.しかし,近年動向をふまえて,今期の常任評議員会で当学会の法人化の是非について検討してきた結果,法人化することが有益であるとの結論に至りました.つきましては,今後,本学会の法人化に向けた具体的検討を進めることを提案させていただきます.
当学会は現在,「人格なき社団」(任意団体)です.本学会がこれから法人化することによる主なメリットは,①社会的な信用が高まること,②対外的な責任が明確になること,③透明性の高い会計処理が行えることの3点です.①については,法に定められた法人としての運営をすることによって組織の基盤が頑強となるため,任意団体に比べて社会的な信用が高まります.②については,学会名で法律行為(契約,雇用,売買,貸借)が行えるようになります.任意団体では銀行口座の開設などの対外的な契約を学会長個人名で行わざるをえませんでしたが,法人化によって責任が会長から理事に分散し,学会が行う行為や構成員の責任・義務が法的に明確な状態で運営されることになります.③については,公益法人会計基準に従って会計処理を行うことで税務リスクを回避できます.一方,デメリットとしては,法人化するまでの準備や事務手続きを要することなどが考えられます.
任意団体が法人となるためには,まず一般社団法人になる必要がありますが,2008年の法律改正によって,一般社団法人の申請・認可手続きが容易になりました.当学会では既に会計に関して外部監査を導入しているため,具体的には今後,定款を作成すればよいことになります.新法人への移行をスムーズに行うために,定款の制定やこれまでの規約・規定の見直しについては,現体制をできる限り踏襲することを原則として,一般社団法人化を進めたいと考えています.
第58回大会で新設しました法人化委員会規定に基づき,法人化委員会を組織し(委員長:小滝豊美会員,委員:徳田誠会員,佐々木力也会員,釘宮聡一会員),2014年5月10日に第1回の法人化委員会を開催しました.今後,外部の専門家などの助言も得ながら,法人の組織形態・定款・会計制度などについてこの委員会の中で検討していく予定です.スケジュールとしては, 2015年3月26日の第59回大会総会時に会員の皆様に具体的な移行案を提示して承認を得たいと考えます.実際に法人に移行する時期については,法人化委員会で検討していく予定ですが,概ね2年後を目処に進めたいと考えています.
以上のような内容で,当学会の一般社団法人化に向けた検討を具体的に進める予定ですので,会員の皆様のご協力,ご理解のほどをよろしくお願い申し上げます.
(会長 石川幸男)