応動昆、持続可能な社会を目指して: 一般社団法人 日本応用動物昆虫学会

新刊紹介「医ダニ学図鑑」

(2020年1月 2日公開)

基本情報

書誌名:
医ダニ学図鑑
著者・編者:
高田伸弘(編著)、高橋 守・藤田博己・夏秋 優(著)
出版日:
2019年9月20日
出版社:
北隆館
総ページ数:
375
ISBN:
978-4-8326-1053-8 C0645
定価:
15,000円(税抜)

近年、ダニ類が媒介する新興の感染症として紅斑熱、重症ウイルス症、ツツガムシ病ほかに注目が集まっている。感染症以外にも人間に刺症やアレルギーなど種々の危害を与える種もあり、これら全般を扱う分野は医ダニ学 medical acarologyと呼ばれる。本書は、これら病原性ダニ類に関する初の本格的な図鑑であり、これまで蓄積された研究成果と最新情報を後世代に伝えるため、病原媒介ダニ学、ツツガムシ学、マダニ学、皮膚科ダニ学の専門研究者が集って企画、執筆、編集した。内容的には、土台となる分類学を重視して、邦産の知られる医ダニ類全種の種名と形態を、古典的な検索表に分子分類の意義も絡めて独自の工夫で整理した。その上で、医ダニ類の生理生態の知見を紹介しつつ、「どのような種類が医学のどのような問題に、いかに、どれだけ絡んでいるか?」という疫学的な解説に力を注いだ。これらの理解を深めるために、多くのカラー画像や地図を用いて"分類と疫学の見える化"を図った。したがって、ダニ類はたまた虫類関係の研究者はもとより、診療の背景として基礎的知見まで知っておきたい臨床医や地域ごとの検査や調査に当たる保健衛生ないし防除関係の方々の座右の書の一つになると思われ、進んで平易な記述からすれば、他分野の関係者や一般の方にも扱い得るだろう。章を順に挙げると、総論(研究史や立ち位置)、A.ツツガムシ類と感染症、B.マダニ類と感染症、C.刺症とアレルギー、D.地理病理(温暖化や周辺国事情を含む)、E.画像補遺「医ダニ類の棲み方」、医ダニ類の和名と学名索引、用語索引となる。

高田 伸弘(MFSS/福井大学医学部)