東京農業大学総合研究所研究会 生物的防除部会 2023年度第3回講演会
(2024年1月23日公開)
- 東京農業大学総合研究所研究会 生物的防除部会 2023年度第3回講演会
- 開催日時:2024年2月13日(火)13:00~16:10
- 開催方法:会場およびZoomウェビナーによるハイブリッド形式。
- 会場:東京農業大学世田谷キャンパス国際センター2階カンファレンスルーム2
- 申し込み方法:下のリンクより申込フォームにアクセスし、お名前とメールアドレス、会場またはオンラインによる参加のご希望をご入力のうえ送信してください。オンライン参加を希望されるかたには、開催日前日までにZoomウェビナーの接続情報をメールでおしらせいたします。
- プログラム:
- 1.13:00~14:00 演題1「自然界における生物間相互作用に関わる生理活性物資の探索と応用利用に向けた研究」
- 和佐野直也氏(九州大学大学院農学研究院)
- 演者は、自然界において昆虫・植物・微生物が引き起こす様々な生命現象を分子レベルの生物間相互作用に着目し、生化学・分子生物学的手法による研究を進めてきた。これまでの主要な研究として、(1) 昆虫の新規殺虫性毒素の精製と遺伝子の単離、(2) 植物に含まれる植食性昆虫の寄主選択に関与する生体防御タンパク質の同定および農業における応用利用法の開発、(3) 植物アレロパシーを引き起こす有機化合物の作用機構解明と植物成長制御物質としての応用利用研究である。これらの成果を紹介しながら、見いだされた物質について農業への利用の可能性について検討する。
- 2.14:00~15:00 演題2「熊本県における露地・施設カンキツ類の天敵を活用した害虫防除の取り組み―防除体系構築に向けた課題」
- 杉浦直幸氏(熊本県農業研究センター生産環境研究所)
- 熊本県のカンキツ栽培地帯では、主力の温州ミカンをはじめ、甘夏や不知火類などの産地が形成され、それら多様な品種・作型に応じた、きめ細かな病害虫防除対策が生産現場から求められている。一方、岸本ら (2007) により、九州でも慣行防除園でカブリダニ類が定着していることが明らかになり、本県でも土着天敵、さらには、生物農薬の活用を推進してきた。本発表では、露地温州ミカン、ハウスミカンのミカンハダニに対する天敵を活用した防除対策の取り組みを紹介したい。また、現在問題となっている主要害虫類の防除対策にも触れ、総合的な防除体系構築に向けた課題も紹介したい。
- 3.15:10~16:10 演題3「福島県におけるハダニ類の防除」
- 中村傑氏(福島県農業総合センター果樹研究所)
- 福島県では、複合交信撹乱剤を導入した防除体系を確立し、非選択性殺虫剤の使用回数削減により、土着天敵が保護されたことで、殺ダニ剤の使用回数も削減された。しかし近年、ハダニ類の増殖に好適な高温乾燥の気象条件が続き、その被害が顕在化した。対策として、殺ダニ剤を追加散布しているが、ナミハダニ及びリンゴハダニは、各種殺ダニ剤に対して感受性が低下した個体群が確認されており、殺ダニ剤に代わる防除技術が求められている。今回は、ナシにおける導入・土着天敵の利用、リンゴにおける気門封鎖剤と土着天敵を活用した総合防除について報告する。
- 生物的防除部会 事務局: 厚井 隆志(e-mail: takashi.koi(a)nifty.ne.jp) ※@は(a)に変えてあります