日本応用動物昆虫学会倫理綱領の制定について
日本学術会議は、平成18年10月の総会において、「科学者の行動規範について」を決定、この声明を各研究機関に周知した。.その後、研究活動における不正行為が社会問題となり、また、東日本大震災を契機とした社会における科学者の義務と責任が問題とされるようになったことを受け、平成25年1月にこれを改訂した。一方、日本応用動物昆虫学会が推進しているJABEE(日本技術者教育認定機構)においてもその中で技術者倫理の重要性が謳われている。このような背景から、日本応用動物昆虫学会は,倫理綱領を制定することとした。
日本応用動物昆虫学会倫理綱領
(前文)
日本応用動物昆虫学会は、応用昆虫学および応用動物学、ならびに関連諸科学の進歩と普及を図り、学術の発展と、人類が生物と生きる環境と社会の安定的発展に貢献することを目的としている。日本応用動物昆虫学会会員は,この目的に賛同し,社会的責任を自覚した高潔な専門家としてあるべく、以下に定める倫理綱領を遵守する。
(綱領)
- 1. 社会的責任
会員は、応用動物昆虫学に関する基礎および応用の科学と技術の社会における役割ならびに自身の社会的役割の重要性を認識し、自らの専門知識を生かして、中立性と客観性を持って誠実に行動する。社会に不利益な影響が生じうる事柄が見つかったときは、すみやかに公表しなくてはならない。
- 2.法令等の遵守
会員は、法律、その他の関連する法令を遵守するとともに、良心に従って研究活動を行わなくてはならない。
- 3.科学者としての行動
会員は、研究活動を行うにあたっては、正直かつ誠実な態度を守り、正確で正当な成果をもたらす義務を負う。データの盗用、捏造、改ざんなどの不正行為は行ってはならず、また加担してはならない。
- 4. 人権等への配慮
会員は、他者の人格と人権を尊重するとともに、研究活動上知り得た個人データ等は機密事項として保持する責務がある。また、,他者の研究成果は正当に評価するとともに、名誉と知的財産権を尊重しなくてはならない。
- 5. 自己研鑚
会員は、応用動物昆虫学に関わる学問の進歩と発展、技術の向上に寄与するため、真理の探究と技術の革新を怠らず、常に専門家としての能力の維持と向上に努めるとともに、研究活動成果の公開と技術協力に努めなくてはならない。
- 6. 環境と生命への配慮
会員は、自然環境と農生態系の保全と改善に努めるとともに、研究活動で扱う生物の尊厳に配慮するよう努めなくてはならない。