第50回 行動進化生態こまば教室のご案内

東京大学 総合文化研究科の工藤達実と申します.

2024年1月17日(金)『公開セミナー:野崎友成 - 第50回 行動進化生態こまば教室-』のハイブリッド開催に関しまして告知いたします.
https://sites.google.com/site/komabaecoevo/

野崎さんは,京都大学で博士号を取得された後,基生研,筑波大学,産総研でポスドクをされ,現在は基礎生物学研究所で助教としてご活躍されております.
シロアリの核相倍化や昆虫の共生系におけるゲノム倍数化の研究をはじめ,シロアリやナナフシをモデルとした単為生殖の進化についてご研究されております.
特に倍数性ゲノムについては,最近ホットな話題となりつつあるので,最新の研究をお聞かせいただける貴重な機会になります.

第50回 行動進化生態こまば教室『公開セミナー:野崎友成』
日時:2025年1月17日(金曜日)15:00 - 16:00
場所:東京大学駒場Ⅰキャンパス 未定(セミナー当日朝にご連絡いたします)
開催方法:ハイブリッド開催(対面&オンライン)

野崎友成 助教(基礎生物学研究所・進化ゲノミクス研究室)
「痕跡化したナナフシのオス・縮小する共生細菌のゲノムから見る機能喪失と進化」

 生物の進化は、新たな機能を獲得するだけでなく、不要になった機能の喪失も伴う複雑なプロセスである。しかし、機能喪失がどのような過程を経て進行するのかは、まだ十分に解明されていない。本発表では、私が「単為生殖系統における有性生殖形質の喪失」と「昆虫共生細菌のゲノム縮小」という2つの視点から行った研究を紹介する。

1:単為生殖が一般的なナナフシモドキにおいて、オスは稀に出現するものの繁殖に関する機能が失われていることを明らかにした。この結果は、本種が有性生殖能力を完全に失い、単為生殖のみに依存した状態にあることを示唆している。

2:昆虫の内部共生細菌の多くは、ホストとの共生関係に不要な遺伝子を喪失しており、ゲノムサイズが大幅に縮小している。多様な昆虫共生細菌の倍数性(ゲノムコピー数)を解析したところ、ゲノムサイズとの間に奇妙な相関関係が検出された。倍数化とゲノム縮小が、それぞれに重要な影響を及ぼしている可能性がある。

これらの研究結果をもとに、特に繁殖様式や共生関係といった特殊な生物システムにおける機能喪失現象に焦点を当て、その意義やプロセスについて議論したい。

野崎友成さんのホームページ

参加登録締切: 2025年1月16日(木) 24:00
https://forms.gle/NHjSaNkYAhN6Z4nm8

※配信URLは後日送付いたします.
※周りの皆さまにもご周知いただけますと幸いです.

世話人:村上 翔大 D3(東京大学),納富 祐典 D2(東京大学),工藤 達実
D2(東京大学),Po-Wei Hsu D3(東京大学)

工藤達実(行動進化生態こまば教室 世話人)