生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞です。滋賀県によって1991年に創設され、第15回より日本生態学会が実施主体となり、このたび 鏡味麻衣子氏 と 徐军(XU Jun)氏 が第22回受賞者になりました。
以下の日程で受賞式および受賞記念講演(無料)を行いますので、ぜひご参加ください。
*第22回生態学琵琶湖賞記念講演チラシは以下のURLからダウンロードできます。
http://www.esj.ne.jp/esj/award/biwako/22flier.pdf
(詳細は生態学会HP https://esj.ne.jp/esj/award/biwako/22lecture.html からもご確認いただけます)
日時:2023年7月8日(土) 14時~16時半(13時半開場)
会場:滋賀県庁 新館7階大会議室
〒520-8577 大津市京町四丁目1番1号
交通アクセス:JR 大津駅から東へ徒歩5分、京阪電気鉄道 島ノ関駅から南南西へ徒歩5分)
https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/gaiyou/annai/300434.html
※ 当日はZoomウェビナーでのライブ配信も行う予定です。配信情報は後日ウェブサイトに掲載いたします。
授賞式 14:00~14:30
受賞記念講演会 14:45~16:30
鏡味 麻衣子 氏(横浜国立大学大学院環境情報研究院/都市科学部・教授)
徐军(XU Jun) 氏 (中国科学院水生生物研究所淡水生態学研究センター・副センター長)
※滋賀県庁で開催される受賞式および受賞記念講演参加希望の方は日本生態学会 琵琶湖賞担当(biwakoprize@esj.ne.jp )まで、お名前・所属・連絡先メールアドレスをお知らせください。
【受賞講演要旨】
受賞者 鏡味 麻衣子 氏 (横浜国立大学大学院環境情報研究院/都市科学部・教授)
講演 「琵琶湖から広がる泳ぐカビの世界:ツボカビの謎に迫る」
キノコやカビは水の中にも生息しています。その中でも「ツボカビ」という種類が 、 湖で重要な働きをすることが 、 琵琶湖での研究をきっかけに明らかになってきました。ツボカビは 、 大量発生する植物プランクトンに寄生することで 、 物質の流れを変える役割を果たします。また 、 ツボカビはミジンコの餌となり 、 食物網を支えます。本講演では 、 ツボカビを介した物質の流れ「マイコループ(Mycoloop)」の命名経緯や琵琶湖での最新研究 、 海洋や雪氷圏 、 都市での研究展望についてお話しします。
受賞者 徐军(XU Jun) 氏 (中国科学院水生生物研究所淡水生態学研究センター・副センター長)
講演 「Aquatic Ecology in a Changing World」
As an aquatic ecologist, my research interests are broad and encompass various areas within the field. In this talk, I will discuss my research interests in aquatic ecology, which are mainly focused on trophic interactions in food webs, macroecological diversity, and applied issues of ecological theory in aquatic ecosystems. I will cover topics such as the relationships between species richness and food web properties, nation-wide patterns of aquatic organism diversity in China, ecological niches of aquatic species, multiple stressors on freshwater biodiversity, and the effects of climate change on eutrophic aquatic ecosystems. The goal of my talk is to share insights and promote understanding of aquatic ecology.
―― 以下和訳 ――
「変化する世界における水圏生態学」
水圏生態学者としての私が興味のある研究テーマは幅広く、この分野の様々な領域を網羅しています。本講演では、私の水圏生態学の研究テーマである食物網における生物間相互作用、マクロ生態学的多様性、水圏生態系における生態学的理論の応用などを中心にお話しします。例えば、種の豊富さと食物網の特性の関係、中国における水生生物の多様性の全国的なパターン、水生生物種の生態学的ニッチ、淡水の生物多様性に対する多重ストレス要因、富栄養化した水圏生態系に対する気候変動の影響などを取り上げる予定です。私の講演の目標は、水圏生態学に関する洞察を共有し、理解を促進することです。
立田 晴記 (一般社団法人日本生態学会 専務理事)