会長を退任するにあたり、一言ご挨拶させていただきます。当初の目的をすべて達成できたわけではありませんが、常任評議員、評議員、事務長、学会事務局、そして会員の皆様のご協力のおかげで何とか任期を全うすることができました。まず、厚く御礼申し上げます。
今期の活動のトピックは次のようになります。私は、前期から引継ぎました「応動昆を若い世代に対しても一層の求心力を持つ学会にしていくこと」を最大の目標として、学会の運営に務めさせていただきました。この目標に沿うものとして、もっとも注力したものにポスター賞の規定の整備と論文賞の創設があります。これまで試行されてきたポスター賞に関しましては、名実ともに正式に応動昆が授与する賞の一つとなりました。ポスター賞は、その認知度の高まりとともに、学生を中心に非常に多くの方々がポスター発表を選択するようになりました。この賞の効果を実感しております。論文賞につきましては、今年、第一回の受賞論文を決定することができました。論文賞の創設がApplied Entomology and Zoology (AEZ) への積極的な投稿を促し、ひいては、インパクトファクターの向上に寄与することを夢見ております。
学会誌の編集につきましては、後藤編集委員長の強力なリーダーシップのもと、編集責任者、編集委員の皆様に一丸となってご尽力いただき、投稿からアクセプトまでにかかる時間の大幅な短縮を実現することができました。このことがAEZの魅力の向上につながり、優れた論文が多く投稿されることを祈っております。後藤編集委員長には、次期も引き続きその任に当たっていただけるということで、一層の改革が図られるものと期待しております。
学会運営の効率化に関しましては、前期から継続して努力してきました、電子投票システムの導入が完了しました。経費削減の効果はこれから期待されるところですが、今回の役員選挙では投票率の大幅な向上にもつながりました。非常に喜ばしいことと考えております。また、最終決定は次期に委ねられましたが、AEZの冊子体の配布をオプション化することを検討いたしました。本学会の会計は単年度赤字の傾向となっております。英文誌の発行を委託しているSpringerとの交渉の結果、冊子体の配布をオプション化することにより、英文誌の発行費用を大きく軽減できる見込みとなりました。本件につきましては、全会員を対象にアンケートをとり、とくに大きな反対がなければ冊子体の配布のオプション化を実施する方向であります。学会の財政の健全化により、必要性の高い施策、事業に十分な予算を配分することが可能となりますので、会員の皆様にはぜひともご理解をいただきたいと考えております。
今期において力を入れていた目標の一つに、本学会の法人化があります。新たに設置された法人化委員会では、小滝委員長のもと、法人化後の組織や運営、役員体制やその選出法、大会の運営法等について検討し、定款の原案作りに着手するとともに、会員向けのQ&A集の準備を行っていただきました。これらの検討の概略は、法人化委員会議事録として和文誌の会報に掲載されています。当初は、今年度の大会で会員の皆様から法人化についての承認を得る予定でしたが、それを延期して、法人化に伴い増える事務内容や作業量とそれに対する対処法を十分に検討し、法人化への最終判断を行うべきという結論に達しております。
次期の学会運営ですが、岩淵次期会長を始め、今期の常任評議員会メンバーの約半数の方々には次期も執行部にお残りいただけることになりました。私は、安心して会長の任を退くことができます。次期執行部には、「法人化」という大きな宿題を残すこととなり、まことに心苦しい限りですが、法人化に関する議論を深めていっていただければと思います。
最後になりますが、私にはまだ昆虫科学連合副代表の任が残っていますので、応動昆の会員の皆様には、さまざまな活動において引き続きお世話になることと思います。どうかこれからもよろしくお願いいたします。2年間、どうもありがとうございました。
(2013-2014年度日本応用動物昆虫学会会長 石川 幸男)