日本応用動物昆虫学会会員の皆さまへ
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「お知らせメール」 2004/12/31
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■1 2003-2004年度の活動の総括と評価
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■1 2003-2004年度の活動の総括と評価
私は、日本応用動物昆虫学会の2003-2004年度の会長として、学会の運
営の舵取りを任されて活動してきました。この度、任期を終わるに当たっ
て、2年間の活動に対する総括と自己評価を行っておきたいと思います。
先ず、執行部として学会発展のために、自己犠牲も厭わず、多大な貢献を
していただいた、副会長はじめ常任評議員会を構成する方々、およびお二
人の事務局員に厚く御礼申しあげます。さらに、評議員、各種委員会委員、
会員の方々の、日常的なご支援に改めて感謝します。
私は、執行部の発足に際し常任評議員会に、2年間の活動の目標を提案
し、それらを2003年3月の岩手大学での大会総会時に、いわゆるマニフェ
ストの形で公約しました。その内容は以下の4本の柱になっていました。
第一、会員減少に歯止めをかけ、財務の健全化をはかる。
ここ数年、会員数は数十人規模で減少しており、不況のあおりで賛助会
費も減少し、これらが財務を圧迫しておりました。そのため2003年度には、
ここ数十年では初めて、特別会計からの繰り入れを伴う赤字予算を計上せ
ざるを得なくなりました。そこで、私は会員の皆様に、「今期は、単年度
収支のバランスがとれるように、経費の節減に努力いたしますが、その過
程で、会員としてのメリットを多少減じるようなお願いをしなければなら
ないかも知れません。ご理解いただきたいと思います」と申しあげました。
私達執行部は、会費の値上げは絶対しないという堅い決心のもとに、財務
の改善に取り組みました。経常経費の支出を可能な限り節減しました。会
員数の減少に歯止めをかけるために、新規会員獲得の潜在的可能性がある
と思われる、都道府県病害虫関係技術職員と大学院生を対象にした、学会
に対する意識に関するアンケート調査を、大規模に行いました。これには
多くの会員のご協力をいただきました。御礼申し上げます。幸い2003年に
は、会員減に歯止めがかかったように思えますが、これは単に一時的な傾
向かも知れません。これらを受けて、2003年度決算は、特別会計からの繰
り入れ無しに黒字を計上することが出来ました。2004年度の決算は現時点
では確定していませんが、会誌印刷頁数がかなり多くなったため、昨年よ
りは黒字幅が減少するものの、やはり黒字を計上できるものと思っていま
す。しかしながら、財務の体質が大幅に健全化したわけでは決してなく、
綱渡り状態であることに変わりはありません。このような財務状態の中で
も、学会の活性化に必要な経費は積極的に支出しました。2003年5月には、
韓国釜山で日韓合同応用動物昆虫学会を開催しましたし、2004年の京都工
芸繊維大学での大会時には、外国人2名を招待した特別講演会の助成も行
いました。
第二、学会運営に関する会員の意識の向上。
岩手大学大会総会で私は、「学会運営において、一つ気になることがあ
ります。それは、最近若手、中堅の会員の方々に、学会運営に、あまり関
心を持っていただけないことです。たとえば、この総会に参加されていた
だいている方々にその傾向を見ることができます。さらに、会長や評議員
選挙の投票率の低さにも、表れています。学会運営は、年寄りに任せてお
けば良いと多くの方々が思っておられるようです」と申し上げ、今期の改
革の視点の一つに、どのようにすれば、若手、中堅会員の方々に、学会運
営に関心を持ってもらえるかの検討をあげました。これには、若い会員の
方々に評議員になっていただいて、学会運営に直接関わっていただくこと
が最も重要と考えました。さらに、女性の評議員が過去30年以上も出てい
ないのも、異常なことでした。そこで、すでに実施された選挙でご存じの
ように、評議員選挙制度を大幅に変えました。2005年3月の玉川大学大会
では、女性や40歳以下の評議員が加わった評議員会が開催されます。彼ら
から、新しい感覚での学会運営の提案がなされることを期待してやみませ
ん。
第三、英文誌の国際的評価の向上。
この点に関して私は「最近、大学はもとより、応用研究所、試験場など
でも、研究者の業績評価が厳しくなされるようになりました。とくに、若
手、中堅の方々にとって、就職や昇進に向けて、国際的評価の高い雑誌に
論文が出るかどうかが、将来を左右することになります。ところで、本学
会の Applied Entomology and Zoology はISI社のインパクトファクター
(IF)が現在0.6程度で(2004年には少し下がった)、決して高いとは言
えません。この雑誌の評価を上げるためには、もとより会員に方々が、質
の高い論文を投稿されることに尽きますが、評価の低い雑誌に自信作を投
稿する気にはなれないと言うのも、また自然の成り行きでしょう。私たち
は、3-4年後には、指数が少なくとも1以上になるように、学会として、
何が出来るかを議論し、実行して行きたいと思っています」と申しあげま
した。IF値を1以上というのは、やや過剰な数値目標ですが、オランダや
ドイツなどの類似の雑誌並のIF値に近づけたいというのが本音でした。そ
こで、英文誌を国際誌レベルに引き上げるための方策の一つとして、外国
出版社への委託を選択枝の一つとして、検討して参りました。この点に関
しては、評議員会で反対、慎重意見が多かったため、出版委託は当面行わ
ないことにしました。これとは別に、前期執行部のご努力で、J-STAGEに
電子ジャーナルとして無料公開した効果がごく最近になって急速に現れて
きました。英文誌へのアクセス数が、2003年には月300位であったのが、
2004年になって3000程度に急増し、最近では6000程度になっています。こ
のように、IT環境が急速に変化しつつあり、これらのアクセスが論文引用
に繋がっていくことを期待して、いましばらく状況を見守っていただきた
いと思います。なお、外国出版社への出版委託の他のメリットであった英
文誌編集責任者の労力軽減は、学会誌刊行センターに編集事務を大幅に委
託することによって解決しました。
学会誌のもう一つの改革は、総説論文を積極的に掲載していこうという
ものです。これもIF対策の一つとして、編集委員長に取り組んでいただき
ました。これまでは、任意で総説執筆をお願いしていた、学会賞、奨励賞
受賞者に投稿を義務付けました。また、学会が講演会に招聘した海外研究
者にも、必ず総説論文で貢献していただくこととしまし、顕著な活躍をさ
れている会員にも、個別にお願いしています。これらの努力の結果は、昨
年の4号から具体化されています。IF値には2-3年後に反映されるでしょ
うから、その時にみなさんの評価をいただきたいと思います。
第四、情報公開と社会的貢献。
この課題に関して、私は「今日のような情報化社会にあっては、学会が、
単に会員内の研究発表や交流の場であるだけではその役割を果たせなくなっ
ています。例えば、学会誌を電子ジャーナルとして広く公開するのは、世
界的なながれであります。・・・今後は、学会の社会に向けての窓口にな
るホームページを充実する必要があります。例えば、会員の研究を、中学、
高校生にも分かるように、易しく広報するコーナーや、一般からの質問を
受け、会員が答える掲示板のようなものが、開設出来ないか、などです」
と申し上げました。私達は、学会が社会に対して開かれた存在になるため
には、HPが主要な媒体となるべきであると考え、HPの充実につとめました。
これには、HP委員長とIT時代の申し子のような、若くて献身的なHP委員が
大変な努力をしてくれています。まだ、対社会への情報発信という点では
十分ではありませんが、会員に対する情報提供を主な目的として立ち上げ
られた「お知らせメール」の多様な情報は、HPを通して一般の人も見るこ
とができるのですから、社会貢献の役割も果たしています。その他書籍紹
介などのコーナーも設けられました。我が学会のHPの充実ぶりは、他学会
から大変注目されていると聞いています。
以上、私達今期執行部の活動をマニフェストで公約した項目に従って総
括してきました。その評価は会員の方々に委ねられるべきだと考えます。
そして今年度からの学会の発展が、田付貞洋会長の舵取りのもとに、強力
布陣の新しい執行部によってなされていくことを期待しています。
(会長 中筋房夫)
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新年号は、執行部引き継ぎがあるので、しばらくお休みをいただきますが、
1月中旬頃に、新会長のご挨拶や最新情報をお届けする予定です。
よいお年を!
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【応動昆 お知らせメール】 027号
2004/12/31(金)